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築50年の木造建築の古民家をカフェに

  • 下北沢の南口商店街から少し外れた住宅地にある、普通の古い一軒家。元の持ち主の表札もそのままで、一見するとカフェだとは気づきませんが、メニューの書かれた大きな黒板が目印です。
  • “mois”とはフランス語で12ヶ月の意味。家で四季を楽しみながら日々を過ごすように、日本の家の呼吸を一年を通じて感じ、毎日を大切に迎えたいという想いが込められています。
  • 「木造建築の建物は築50年。人々がここで過ごし、暮らしを守ってきた家を残し、もう一度生きた空気が流れる、人の集う場所にして守っていきたいというのが私たちの願いです」(ディレクターの中島瞳さん)
  • 店内の内装も“生活のある家”そのものの温かみが活かされています。
  • 「あまり人工的な手を加えず活かす事を意識しました。磨りガラスの木枠窓など、所々にあえて古さを感じさせつつ、天井を取り払って梁を見せ、仕切りもなくすことでワンスペースの開放感も演出しています」
  • 古くなったら捨てる、古いものは新しいものに取り替える。それが当たり前のように生きてきた私たちにとって、mois cafeはこれまで見落としてきた大切な何かを思い出させてくれる場所かもしれません。
生活感があり暖かみのある店内は、まるで実家に帰ってきたようなほっとくつろげる場所のよう。所々にある柱の傷や古い壁の染みは、どこか懐かしさすら感じさせる。
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mois cafeはもうひとつの家
でも少し気持ちを引き締められる場所

  • そして中島さんはmois cafeを第二の家として使ってほしいと話します。
  • 「例えば手紙を書いたりする時、自宅で書いていると思うように進まない時があると思います。そんな時に使ってもらえる“もうひとつの家”でありたいんです。暮らしの四季を感じつつ家のようにくつろいで過ごせるんだけど、家よりは少し姿勢を正して、気持ちを引き締められる空間。それがmois cafeだったら嬉しいですね。会話をする場所として、好きなものを思い出せる場所として、ひと呼吸する感覚で時間を共有していただきたいです」
  • そんなmois cafeの想いはお店の演出以外にも表れています。
  • 「メニューは家庭料理にプラスαしたもの。お家で作りたいものに違う食材を合わせたり、スパイスを加えるなど、ひと手間加えたメニューをお出ししています。BGMにはエレクトロニアのインストからギターのインスト、日本の音楽を流しています。自然の音や光を感じられる、比較的静かでゆったり、まったり心地よいイメージの曲ですね。接客でも穏やかに、家に家族が帰ってきたときのようなお迎えを意識しています。家族の食堂、というイメージですね」
  • そして最後にお店の世界観として、中島さんは次のように語ってくれました。
  • 「人々が過ごしてきた愛すべき穏やかな、小さな軌跡や歴史。それを伝えるこの家の空気を共有し、感じる空間を大切にすること。これからもそれを大切にしていきたいですね」
  • 壁についた染み。柱についた小さな傷。それをただの劣化だと考えるなら、お金を出せば新しいものに取り替える事ができます。しかしそれを思い出や生活の記憶だと考えれば、それはお金に替える事のできない大切な財産。mois cafeは、この家が持つそんな思い出や記憶、そしてここを“もうひとつの家”として訪れる人たちの記憶が積み重なっていくことで、たくさんの人にとってのかけがえのない場所として、これからもあり続けるのでしょう。

mois cafe(モワカフェ)

  • 東京都世田谷区北沢2-21-26
  • 03-3421-1844
  • 営業時間
  • 12:00~23:00
  • 定休日なし

http://www.renovationplanning.co.jp/mois/